nanairoy’s diary

欠けた月の黒いところ♪

君たちはどう食べるか

 

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連日危険な暑さと言われる酷暑が続いておりますが、皆様暑さ疲れなどされていませんか?💦

食欲がない時は、野菜たっぷりの豚汁(味噌味で)がお勧めです♪

 

 

 

今日は、お仕事のお話を少しだけさせさください。

 

 

 

私は普段、特別養護老人ホームの管理栄養士をしています。

 

 

特別養護老人ホームは介護度が3以上でないと入所できませんので、認知症も比較的重症なかたが多いかと思います。

 

 

中には60代というお若いかたもいらっしゃいますが…90才を過ぎた超高齢なかたがたが入所者様の半分以上を占めています。

 

 

お食事を通じて入所者様の栄養管理をするのが私の仕事なわけですが、おひとりおひとり認知度や咀嚼・嚥下状態、持病も様々です。

 

 

その上服用されている薬剤の影響なども考えて、体重や採血検査の結果を見ながら栄養状態を判断し、個人個人に適切な栄養マネジメントを行うというのは、栄養士であれど非常に難しく感じることが日常多々あります。

 

 

「楽しみといえば食事」と仰ってくださる入所者様もたくさんいらっしゃいますが、中には認知症が進行し、自力でお食事を食べることが難しく、職員の介助によってなんとか食べられているかたもいらっしゃいます。

 

 

また、

お食事を口の中に入れてもむせてしまい、痰がらみが酷くなってしまうと吸引を行うようなかた。

 

 

寝たきりとなり、声かけに対する反応もほとんどなく、シリンジ(注射筒)を使ってペースト状のお食事を口の中に入れると、反射的に飲み込まれているようなかた。

 

 

中にはお口からお食事が摂れず、「胃ろう」といって、胃から栄養を入れているかたもいらっしゃり、お食事ひとつをとっても入所者様の状態は様々です。

 

 

 

「食べることは生きること」

 

 

 

高齢者の場合特に、食事や水分が入らなければ病態の悪化や死に直面します。

 

 

栄養を入れる方法には様々ありますが、食べる意思のないかたにそこまでして食べていただく必要があるのか…

栄養状態を改善させる意味があるのだろうか…

 

 

 

ただただ長生きすることが幸せではない…

 

 

そんな時代だからこそ、生きることに直結する食べるという行為について、深く考えさせられます。

 

 

 

Nさんという入所者様が話してくださったお話です。

 

 

夫の祖母は非常にわがままで、冬でもスイカが食べたいと言ったり、常にあれが食べたい、これが食べたいと言っていた人だったから、私はいつも町中の八百屋を走り回っていたもんだ。

 

死ぬ間際にはぶどうが食べたいと言い、お椀にたっぷりのぶどうを枕元に置くと、それはそれは美味しそうにそのぶどうを平らげて、満足気な表情で眠るように息を引き取った…

 

私も、あんな風に死にたい…

 

 

と、仰られていました。

 

 

そんな思いが心の片隅にあるだけで、食べることに対する日々の意識も変わってくるのかもしれません。

 

 

 

忙しい日々の中で、ついつい食事なんて空腹を満たせばいいや、となりがちですが…

 

 

 

飽食の時代の今だからこそ、食べることに丁寧に向き合う必要があるのではないかと思います。

 

 

 

20年後、30年後、40年後…

最期まで、自分の意思で食べることができたなら…

 

 

 

あなたは最期に何を食べたいですか?

 

 

 

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今日もお読みいただき、ありがとうございます💓