先日、長年の入所者様の1人である
Kさんがお亡くなりになりました。
もう何年も前からベット上で寝たきりの生活。
食事は介護士の全面介助により
召し上がれていたのですが
段々と嚥下機能の低下が見られており
2ヶ月程前に発熱と共に呼吸状態の低下があり
お口から食事を摂る事が難しくなりました。
そこからは1日1,000cc程の点滴のみで
様子観察。
このところ、
体のむくみや痰がらみの増加もあり
お看取りの方向で点滴の量を
1日500ccに減らそうと言っていた矢先に…
お亡くなりになってしまいました。
本来は少しずつ水分を減らしながら
枯れるように最期を迎えることが
ご本人にとっては一番楽な最期を
迎えることが出来ると言われています。
とは言え、
点滴を完全に止めてしまうというのは
「餓死」させてしまうことになるのでは…
という考えもありますし
一日でも長く生きていてほしいという気持ちが
あればあるほど
少しでも栄養や水分を入れてほしい
というご家族のお気持ちも痛いほどわかります。
亡くなる前の状況は人それぞれではありますので
一概に言えることではありませんが
一般的には
点滴をしないことで痰の量が減ったり
脳内エンドルフィンや
ケトン体が増えることによる
鎮静鎮痛作用により
本人は至って安らかな最期を迎えることが
出来ると言われています。
花が枯れる時
どんなに水や肥料をあげても
却って根を腐らせてしまうように
人間も全身が衰弱し
様々な機能が低下し停止に向かう過程で
栄養や水分を入れてしまうと
体はむくみ、痰がからみ
吸引器による苦しい吸引を行うこととなり
せっかくの鎮静鎮痛作用は消え
心地良く穏やかな最期でなくなってしまう…
もちろん持病があるかたですと
病態によっては急変したり
逆に回復することもありますので
そのあたりの見極めは
医師であれど非常に難しい判断に
なるのではないかと思います。
今回のKさんに関しては
点滴の量を減らすタイミングが
少し遅かったかも知れません…
ちなみにですが
老衰と診断されてからの余命は
ある病院では平均1.9ヶ月
というデータがあるそうです。
口から食事が取れなくなって
点滴のみでの余命は3ヶ月程度。
点滴を全くしない場合の余命は
5日〜7日程度。
長くても10日間ほどと言われています。
人間の体は生まれた時はほとんどが水。
胎児では体重の約90パーセント
新生児では約80パーセント
子どもでは約70パーセント
成人では約60〜65パーセント
老人では50〜55パーセントを
水が占めています。
そして最期はもっともっと減っていき
枯れるようにして穏やかに土に還る。
それが自然なのですね。
今日もお読みいただき、ありがとうございます。